夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

「スゲェなアイツ。
最下位から一気に優勝とか」


高岡くんは感心した様にあの選手を見ていた。
私が注目していた選手だ。
100メートルを切った瞬間、泳ぐスピードがまるで違った。
馬鹿みたいに速くて鳥肌が立ったのが分かった。
1秒たりとも目を離したくなくて、瞬きする時間さえも惜しかった。

もし、私があの場にいたら。
彼に勝てただろうか?
考えれば考えるほど体が震えてくる。


「っ……」

「高瀬……?」


高岡くんが話しかけてくれてるのに答える事すら出来ない。
だって悔しくて、悔しくて。
どうにかなりそうだったから。

あの舞台に立っていない事も。
あんなに凄い泳ぎを見せつけられたのに立ち向かおうとすらしない事も。


「……ごめん、帰るね」


それだけ言うと私は立ち上がり歩き出す。


「は……?おい……高瀬!?」


私は高岡くんの声に振り返ることなく会場から出た。