やっぱりここか。
扉が少し開いているのに気が付き私の悪戯心に火がついた。
驚かしてやろうと静かに扉へと近付く。

でも何かがおかしい。
声が聞こえてくる。
声って言うかよく分からないけど。

静かに扉の隙間から更衣室を覗けば男の人がレナの上に覆いかぶさっていた。


「なっ……」


初めて見る行為に私はその場から動けなくなってしまう。
いつものレナからは想像が出来ないくらいの甘い声。

合意の上なら私は何も言わない。
だけど何も更衣室でしなくたって。
焦った私は頭が真っ白になりながらもその場から去ろうと足を動かす。
でもその足はピタリと止まった。


「けん……や……せんせい……」


健也先生?
聞き覚えのある名前に目を見開いてしまった。
もしかして三井先生の事!?
レナは以前から三井先生に猛アタックしていたけど。

まさか付き合っているとは思わなかった。
少し複雑な気持ちを持ちになりながら私は後ろを振り向いた。
教師との恋愛は大変かもしれないけど私は応援するよ。
レナは三井先生の事本気みたいだったし。

さてと戻ろうかな。
そう思った瞬間


「っ!!」


三井先生がこっちを見てニヤリと口角を上げた。
焦った私は固まった足を無理やり動かしてプールへと戻る。

なに今の。
明らかに私を見てたよね?
バクバクと煩い心臓を落ち着かせようと深呼吸をする。


「真希~!レナいた~?」

「み……見つからなかった!」

「そっか~。
まぁそのうち戻ってくるっしょ!
練習しよう~」

「う……うん!」


流石にさっきの光景を話す訳にもいかず私は嘘をついてしまった。
プールに入りひたすら泳ぐがモヤモヤとした気持ちが残り集中する事が出来ずにいた。
更衣室なんか行かなきゃ良かった。
後悔をしながら水中から顔を出す。


「ぷはっ!!」

「どうした高瀬。
さっきのキレが全然ないぞ」

「み……三井先生!?」


いきなり現れた三井先生に私は顔が熱くなってしまった。