三井先生がコーチになってから3か月が経った。


「高瀬!お前、相変わらず筋がいいな~」

「あ……ありがとうございます!」


三井先生は教え方も上手くてコーチとしては素晴らしい人だった。
女子部員から人気でみんな三井先生に夢中だった。
みんな恋愛に飢えているからな。
水泳三昧だった私たちに浮いた噂は一切なかった。
私も三井先生は好きだけどあくまでも指導者として。
恋愛感情なんて一切ない。


「真希~!
健也先生に褒められていいな~」

「羨ましい~」


みんな目がハートになっているし。
もうすぐ大会もあるし気を引き締めないと。


「みんな!気合い入れていくよ!!」

「お~!!」


まあ、やる時はやってくれるからいいけど。
でも……。


「うぉ~。
真希ちゃん相変わらずスタイルイイね~」

「マジ可愛い~」


男子部員が練習もせずに私たちの事を見ている。
練習しないなら帰ってよ。
『邪魔だな~』と思いながら私は練習を再開する。


「っぷは!!」

「真希!
アンタまた自己ベスト更新したよ!」

「やった!!」


友達とハイタッチを交わしながら私は喜びに浸っていた。
でもターンがまだまだ甘いな。
もっと速く出来るようにしなきゃ。
自己分析をしながら頷く。
三井先生にアドバイスをして貰おうかな。
そう思い周りを見渡すが何処にも姿はなかった。


「真希!レナ知らない?」

「え?いないの?」

「うん!」


練習を始めた時はいたのにどこに行ったんだろう?


「探してくるね!」

「行ってらっしゃ~い」


私はタオルで体を拭きながら三井先生とレナを探しに行った。


「更衣室かな?」


休憩にでも行ったのだと思い私は更衣室へと向かう。