夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

「でも、もう1つ叶えたい夢があるんです」

「え?」


この夢は絶対に私だけの力では叶えられない。
スゥッと大きく息を吸って言葉と一緒に吐き出した。


「先生の指導の下でオリンピックで優勝をしたい!」

「え……」

「確かにそのメダルも先生が私に泳ぐ楽しさを教えてくれたから取れたモノです。
でも次は、ちゃんと傍にいて下さい。
テレビ越しじゃなくて、私の隣にいて欲しいんです!!」


私の素直な気持ち。
全部曝け出したから。
だから先生も私にぶつかって。
私を真っ直ぐに見てください。


「高瀬さん……僕だって出来る事ならキミの傍にいたいです。
キミと一緒に泳ぎたいです。
だけど僕は……」


先生、あなたの気持ち全部受け取りました。


「これ見てください!」

「え?」


私は後ろに隠していた物を先生へと渡した。
真っ白な封筒の中には紙が入っている。
それを見た先生は唖然としながら固まってしまう。


「荒城大学の水泳部のコーチの推薦状です!
原田選手が上の人に掛け合ってくれたんです!!
私も高岡くんも、それから赤星くんも平井くんも荒城大学に行くことになっていて、先生にご指導をお願いしたいとお願いしてきたんです!そしたら見事OKが出ました!!」


笑いながら言えば先生は黙り込んでしまった。
もしかして怒っているのだろうか。
こんな勝手な事をしたから。
冷静に考えれば先生にはもう新しい人生があって、私なんてもう過去の人間かもしれない。
だけど私は……。


「先生、私の事は嫌いでもいいです。
でも高岡くんも原田選手も、皆も先生を必要としているんです。
帰って来て下さい……!!」


勢いよく頭を下げて先生の言葉を待つ。
その時間がいやに長く感じた。


「……ごめんなさい」


先生から出たのは謝罪の言葉だった。

そう……だよね。
先生にはもう新しい生活があるんだから。
だからこれ以上我儘を言って先生を困らせる訳にはいかない。