夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

「でも、僕は何も……」


戸惑う先生の頬を自分の両手で包み込む。
驚く先生と微笑む私。
周りから見たら凄く変な光景だろう。
でも、気にしない。
だって私には先生しか見えていないから。


「先生が私に夢をくれた。
水泳と向き合う勇気をくれたんです。
だから何もしていないなんて言わないで」


私と先生の思い出を消さないで。


「高瀬さん……」

「先生が私の先生でよかった。
貴方に出逢えて良かった」

「高瀬さ……」

「きゃっ!?」


先生の言葉が途切れたと思ったら私の体はいきなり抱き寄せられた。
ピタリとくっつく私たちの体。
先生に抱きしめられているのだと分かり胸が熱くなっていく。


「それは……こっちの台詞です。
高瀬さんが僕の生徒でよかった。
絶望に陥っていた僕の前に現れてくれてありがとう」


先生の涙が私の肩を濡らしていく。
ポタポタと落ちる涙に私も我慢する事が出来ずに泣いてしまう。


「先生……泣かないでよっ……」

「高瀬さんこそっ……」


顔を見合わせて笑い合った。
2人とも顔は涙でグシャグシャなのに凄くイイ顔で笑っていたに違いない。