夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

私はもう1度、泳げるかな?
自分らしく、楽しく。
ぎゅっと拳を握りしめて俯いた。

過去は未来へと繋がって私はまた新しく歩み出そうとしている。
その迷いはもうないけれど。
でも私には。


「何しけた面してんだよ」

「真希ちゃんらしくないよ!」

「そうそう!
最近は禄に笑顔も見てないし!
ソロソロ満面な笑みを浮かべて欲しいんだけど」


聞き慣れたその声。
パッと見上げれば原田選手の隣には見飽きるくらい一緒にいた人たちが目に映る。


「高岡くん……先輩たち……」


うちの水泳部のメンバーが全員集合をしていた。
見慣れた水着姿で溢れんばかりの笑顔で私を見ている。
ずっと一緒にいたのにこんなに真っ直ぐと皆の顔を見たのは久しぶりかもしれない。
先生がいなくなってから私は誰かと向き合う事を避けていたから。
1人になろうと勝手に殻に閉じこもって自らで光を遠ざけて闇に呑み込まれに行った。
だけど、皆は必死に私を繋ぎとめてくれようとずっと傍にいてくれた。
そんな事も分からないで私は自分だけ傷ついている様な顔をしていたのかもしれない。
苦しんでいたのは皆も一緒なのに。


「みんな……ごめっ……」

「ああぁぁぁー!!」


謝ろうとすれば高岡くんがいきなり叫びだしていた。
ビックリした私は口を閉ざしてしまう。
そんな私を見て彼は優しく微笑んだ。
そして綺麗な孤を描きながらプールへと飛び込んだ。
初めて彼の泳ぎを見た時と同じ、いや。
それ以上の胸の高鳴りが私を襲う。
いつ見ても高岡くんの飛び込みは私に勇気をくれるんだ。
彼に見惚れていればいつの間にか目の前まで来ていた。


「んっ」


そう言って差し出さた拳。
どこか照れくさそうな彼を見れば自然と頬が緩んでいく。


「お前の“ごめん”なんていらねぇよ。
その代わりもう2度と逃げ出すな、自分の泳ぎから」


ぶっきらぼうに言い放つ彼。
沢山心配を掛けたのに高岡くんは怒るどころか私を支え続けてくれた。
それは他の先輩たちも同じで。
私はどれだけ皆に支えられてきたかが分かる。


そうだ。
私には過去も未来も大切だけれど。
皆と進む今も同じくらい大切なんだ。


「……うん!約束!」


コツンと自分の拳を高岡くんの拳にぶつける。
再び繋がった私たちの心は熱く交じり合っていった。