夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

「真希!!」

「真希っー!!」


自分の名前が呼ばれ振り向いた。
そこまでは良かった。
でも、もう駄目だった。


「っ……!!」


ボロボロと零れる涙。
締めつけられる胸。
声にならない悲鳴が小さく消えていく。


「……み……んな……」


視界はぼやけて体は震えているけれど。
そんなのお構いなしに歩き出した。
水を掻き分けて、1歩1歩、進んでいく。
チャポン、チャポンと聞き慣れた水の音が私の周りに響いて。
もう2度と見る事が出来ないと思った光景が目に映っている。

目の前にいるのは中学の時の水泳部の仲間だった。
みんな水着を着ていて、プールへと飛び込んでいる。
まるで中学時代に戻った様な、不思議な感じだ。


「アンタ……泣き過ぎっ!!」


そう言って私に抱き着くのはレナだった。
人の事を言えないくらいに泣いているくせに。
その言葉は呑み込んでレナを抱きしめた。
私たちを囲む様に他の女子部員が抱き着いてくる。
皆の笑顔も泣き顔も、私にとっては懐かしくて、大切で。


「みんなっ……」


久しぶりの再会なのに言葉なんか出ない。
ただ皆で同じ時間を共有したい、それだけだった。


「どうしてっ……ココに……」


言葉に詰まりながらも皆に聞けば、代表をする様にレナが口を開いた。


「三井先生が言ってたでしょ?
止まっていた時間を動かすって」

「言ってたけど……って言うか……大丈夫なの……その……」


レナと三井先生の間にあった事を思えばこの場に2人がいる事は考えられない。
それに他の部員だって……。
オロオロする私を見ながら皆は笑っていた。
三井先生も落ち着いているし、どうやら状況を理解が出来ていないのは私だけみたいだ。


「大丈夫よ、三井先生とは和解したし」

「うん!謝ってくれたからねー」


嬉しそうに騒ぐ皆の顔にはもう怒りなんてなかった。
三井先生と出逢った時と同じ様に輝いた笑顔を浮かべている。


「謝ったって……」


驚いた私は三井先生の方に顔を向けた。


「約束しただろ?ちゃんと謝るって」

「……そうでしたね……」


秋大会の時に、私と三井先生が仲直りした時に交わした約束。
それをちゃんと守ってくれた。
やっぱり三井先生と根は悪い人じゃない。
三井先生と女子部員の間に流れる空気は穏やかで、本当に時間が動き出したんだって実感した。
私だけじゃなくて、皆の時間も前へと進んだ。
それが嬉しくて既に涙でいっぱいの顔が更に酷くなっていく。