「それを聞いたらよ……自分が犯した罪の重さを実感した。
お前から大切なモノを奪って、再び立ち向かっているお前からまた奪おうとした。
本当に馬鹿だったって気付かされてよ」
「三井先生……」
彼の顔には“後悔”しかなくて。
私なんかより辛そうな顔をしている三井先生にぎゅっと胸が締め付けられる。
そんな顔をしないで、そう伝えたいけれど、私が言ったって三井先生にはきっと届かない。
それが分かっているからこそ何も言えない。
「そんな俺をお前は許してくれた。
本当なら憎んでも足りないくらいなのに、俺に笑顔を向けてくれた。
だから……高瀬の為に俺が出来る事があるなら何でもやりたいんだ」
「……」
「それを教えてくれた蒼井先生に苦しい思いをさせたくない」
「先生を苦しめたくないって……」
三井先生は水を掻き分けながら歩いて来る。
目の前に立った彼を見上げる様に顔を向ければ真っ直ぐなその瞳に捕らわれた。
逸らしたくなるほど汚れのない目。
でもどうしても逸らす事が出来なかった。
「お前は水泳界で最も注目されている選手だ。
選抜の泳ぎをテレビで見たがタイムも速いし、この調子ならオリンピックも夢じゃない。
……だけどな……今のお前の泳ぎでいい結果を出しても……。
蒼井先生はきっと、いや、絶対に喜ばない」
「そ、それは……」
分かっている、そんな事は……。
本当は先生が好きだって言ってくれた泳ぎで結果を出したいけれど。
もうどうやって泳いでいたかさえ覚えていないんだ。
水泳を好きだった気持ちも、今は分からなくて私に残っているのは校長先生との約束と先生との夢で。
それ以外はもうどうだっていい。
泳ぎが楽しかろうが辛かろうが、どうだって……。
本当にそう思っているはずなのに胸がギシリと軋んだ気がした。
自分だって分かっているんだ。
私は今でも、水泳を“好きでいたい”そう思っている事は。
「高瀬、お前は蒼井先生から何を教わった?」
「え?」
「苦しんで泳げと教わったのか?
自分を傷付けながら泳げと!!」
初めて聞いた三井先生の怒鳴り声。
でもそれは怒っているのではなくて凄く哀しそうに聞こえた。
「……違います……」
唇を噛みしめて俯いた。
先生は私に泳ぐ事の楽しさを教えてくれた。
泳げる事の奇跡を教えてくれた。
先生が私をまた泳がせてくれた。
お前から大切なモノを奪って、再び立ち向かっているお前からまた奪おうとした。
本当に馬鹿だったって気付かされてよ」
「三井先生……」
彼の顔には“後悔”しかなくて。
私なんかより辛そうな顔をしている三井先生にぎゅっと胸が締め付けられる。
そんな顔をしないで、そう伝えたいけれど、私が言ったって三井先生にはきっと届かない。
それが分かっているからこそ何も言えない。
「そんな俺をお前は許してくれた。
本当なら憎んでも足りないくらいなのに、俺に笑顔を向けてくれた。
だから……高瀬の為に俺が出来る事があるなら何でもやりたいんだ」
「……」
「それを教えてくれた蒼井先生に苦しい思いをさせたくない」
「先生を苦しめたくないって……」
三井先生は水を掻き分けながら歩いて来る。
目の前に立った彼を見上げる様に顔を向ければ真っ直ぐなその瞳に捕らわれた。
逸らしたくなるほど汚れのない目。
でもどうしても逸らす事が出来なかった。
「お前は水泳界で最も注目されている選手だ。
選抜の泳ぎをテレビで見たがタイムも速いし、この調子ならオリンピックも夢じゃない。
……だけどな……今のお前の泳ぎでいい結果を出しても……。
蒼井先生はきっと、いや、絶対に喜ばない」
「そ、それは……」
分かっている、そんな事は……。
本当は先生が好きだって言ってくれた泳ぎで結果を出したいけれど。
もうどうやって泳いでいたかさえ覚えていないんだ。
水泳を好きだった気持ちも、今は分からなくて私に残っているのは校長先生との約束と先生との夢で。
それ以外はもうどうだっていい。
泳ぎが楽しかろうが辛かろうが、どうだって……。
本当にそう思っているはずなのに胸がギシリと軋んだ気がした。
自分だって分かっているんだ。
私は今でも、水泳を“好きでいたい”そう思っている事は。
「高瀬、お前は蒼井先生から何を教わった?」
「え?」
「苦しんで泳げと教わったのか?
自分を傷付けながら泳げと!!」
初めて聞いた三井先生の怒鳴り声。
でもそれは怒っているのではなくて凄く哀しそうに聞こえた。
「……違います……」
唇を噛みしめて俯いた。
先生は私に泳ぐ事の楽しさを教えてくれた。
泳げる事の奇跡を教えてくれた。
先生が私をまた泳がせてくれた。

