夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

合宿が始まって1週間。
私は狂ったように泳ぎ続けていた。
今は夜の12時過ぎで練習時間外だが、許可を取った私は1人で練習を続けていた。


「っ……ぷっは!!」


泳いでも、泳いでも、頭はスッキリしない。
この前、原田選手に言われた言葉が頭から離れないんだ。


「もう1本……あっ……」


無理な練習をし続けてきたせいで体から力が抜けていく。
プールサイドで倒れこみながら荒い息を整える。

こんなんじゃ、オリンピックなんて……。
奥歯を噛みしめながら何度も太腿を叩いた。


「あ……あぁぁぁー!!」


悔しくて、情けなくて。
ぶつけ所のない感情を吐き出す様に叫んだ。

これから先どうしたらいいかなんて分からない。
でも泳がなければいけない。

色々な想いが私を渦巻いて。
狂わせるんだ。

もう泳ぎたくない。
泳いでも、泳いでも、先生と私の距離は縮まらなくて。
先生を守るどころか苦しめる事しか出来なくて。

自分が壊れていくのが分かる。
水泳への想いも自分の人生も。
何もかもが崩れ落ちて……。

苦しいのに、怖いのに。
助けを求めることも出来ずに1人で溺れていく。

中学生の時と同じ様に。
私はまた光を失って堕ちていくんだ。


『高瀬さん』


頭に響くのは先生の声で。
でも、もうその声を聞く事すら私には出来ないんだ。


「高瀬!!」


闇に呑み込まれた私を呼び戻すかのように誰かが私を呼んだ。
それは愛おしい先生ではなかったけれど私にとって大切な人に違いはない。