夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

「私に……どうしろって言うんですか……」


もう分からない。

先生が私の泳ぎを好きだって思ってくれていたのは知っている。
今の私はその時の泳ぎとかけ離れた泳ぎをしているって事も分かっている。

先生が好きだって言ってくれた泳ぎをずっとしていきたかったけれど。
今の私にはもう出来ないんだ。

だって。
私は水泳が、泳ぐ事が……。
苦痛にしか思わなくなってしまったのだから。

泳げば泳ぐほど自分が自分ではなくなる感じがして。
純粋に泳ぐ事が好きだった自分を押し殺して。
泳がなければいけないというプレッシャーが私の感情をも破壊した。
そんな私に何をしろと言うんだ。


「君には蒼井の夢を叶えて欲しいんだ」


それは私にとっては何とでもない言葉だった。
元々そのつもりで、それにしか興味がない。


「分かっています。
先生の夢は私が絶対に叶えますから」


そう言って椅子から立ち上がる。
早く練習をしなければ。
その想いが溢れ出て体を突き動かしていた。
水泳が好きだから泳ぐ、ではなくて。
結果を出さなければいけないから泳ぐ。
いつの間にか私の心は変わっていたんだ。

水泳が大好きだった私は、今はどこを探したっていない。


「それは俺個人の想いだ!!
でも……蒼井の親友としての想いは違う」


背を向けて歩き出そうとした私の動きを止めた言葉。
それは私が1番聞きたくなかった言葉だった。


「今の君には蒼井の夢を受け継いでほしくない!」

「……」


何も言えずに、ただ黙り込んだ。
悔しい訳ではない。
だって自分でも分かっている。
私に先生の夢を背負う資格なんて無いことくらい。
分かってはいるけれど。
やっぱり誰かの口からは聞きたくなかった。
今の私から、夢を取ったら、もう何も無くなるのだから。