「それで、高校までは頑張ってアイツと張り合おうとしてたけど。
入学して少しして自由形へと転向したんだ。
俺は1度だってアイツに勝てずに平泳ぎの人生を終わらせたんだ」
自分が好きな泳ぎを辞めるのはどれだけの痛みや苦しみがあったのだろうか。
辞めた理由が理由なだけに後悔しても足りなかったに違いない。
もしかしたら今でも、その時の事を想うと胸が痛むのかもしれない。
それでも原田選手は、先生の事を大切に想っている。
複雑な心情を考えれば何も言葉が出せなくなってしまう。
誰も悪くなんてない。
先生は勿論だけど原田選手だって。
運命は時に残酷で、本当に大切なモノをいとも簡単になくしてしまう。
「……自由形に転向して俺の人生は一気に変わった。
平泳ぎではいつも蒼井の陰で隠れて目立たなかったが、自由形に行った途端に世間に名前が出た。
俺は逃げ出したんだよ。平泳ぎからも蒼井からも」
元々、原田選手には泳ぐ才能があったんだ。
そうじゃなかったら転向してすぐに結果が出せる訳がない。
自由形を極めてきた選手たちの間に立つ事だけで勇気がいるのに。
原田選手はそれをものともせずに乗り越えていった。
そこには才能だけではなくて沢山の努力があったのだろう。
「原田選手は逃げ出してなんかいないです」
「え……」
目を瞑れば優しい声が頭に浮かぶ。
『高瀬さん。
キミは逃げてなんかいませんよ』
先生が私にくれた言葉は胸にすんなりと入って心を温かくしてくれた。
どんな時だって先生が傍にいてくれた。
『だってキミはまたこうやって闘っているじゃありませんか』
「だって原田選手はこうやって闘っているじゃないですか」
『逃げ出すというのは……。
後悔を持ちながらも立ち向かわない事です』
「逃げ出すというには……。
後悔を持ちながらも立ち向かわない事です」
『キミは……。
たくさん悩んで……迷って向き合っているじゃないですか』
「原田選手は……。
たくさん悩んで、迷って、きちんと向き合っている。
自分の居場所を自分の手で勝ち取ってきたんです。
あなたは逃げ出してなんかいない!ずっと闘い続けてきたじゃないですか!」
先生がくれた言葉で、今度は私が先生の大切な人を守ります。
先生が私を助けてくれた様に。
私も誰かの心を救いたいから。
入学して少しして自由形へと転向したんだ。
俺は1度だってアイツに勝てずに平泳ぎの人生を終わらせたんだ」
自分が好きな泳ぎを辞めるのはどれだけの痛みや苦しみがあったのだろうか。
辞めた理由が理由なだけに後悔しても足りなかったに違いない。
もしかしたら今でも、その時の事を想うと胸が痛むのかもしれない。
それでも原田選手は、先生の事を大切に想っている。
複雑な心情を考えれば何も言葉が出せなくなってしまう。
誰も悪くなんてない。
先生は勿論だけど原田選手だって。
運命は時に残酷で、本当に大切なモノをいとも簡単になくしてしまう。
「……自由形に転向して俺の人生は一気に変わった。
平泳ぎではいつも蒼井の陰で隠れて目立たなかったが、自由形に行った途端に世間に名前が出た。
俺は逃げ出したんだよ。平泳ぎからも蒼井からも」
元々、原田選手には泳ぐ才能があったんだ。
そうじゃなかったら転向してすぐに結果が出せる訳がない。
自由形を極めてきた選手たちの間に立つ事だけで勇気がいるのに。
原田選手はそれをものともせずに乗り越えていった。
そこには才能だけではなくて沢山の努力があったのだろう。
「原田選手は逃げ出してなんかいないです」
「え……」
目を瞑れば優しい声が頭に浮かぶ。
『高瀬さん。
キミは逃げてなんかいませんよ』
先生が私にくれた言葉は胸にすんなりと入って心を温かくしてくれた。
どんな時だって先生が傍にいてくれた。
『だってキミはまたこうやって闘っているじゃありませんか』
「だって原田選手はこうやって闘っているじゃないですか」
『逃げ出すというのは……。
後悔を持ちながらも立ち向かわない事です』
「逃げ出すというには……。
後悔を持ちながらも立ち向かわない事です」
『キミは……。
たくさん悩んで……迷って向き合っているじゃないですか』
「原田選手は……。
たくさん悩んで、迷って、きちんと向き合っている。
自分の居場所を自分の手で勝ち取ってきたんです。
あなたは逃げ出してなんかいない!ずっと闘い続けてきたじゃないですか!」
先生がくれた言葉で、今度は私が先生の大切な人を守ります。
先生が私を助けてくれた様に。
私も誰かの心を救いたいから。

