夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

「……ぷはっ!!」


いつの間にか泳ぎ切っていたようだ。
壁に手をつきながら足を地につければ上から歓声が降ってきた。


「凄いな高瀬さん!」

「泳ぎが鋭くて格好良いよ!!」


プールサイドで拍手をしながら満面な笑みを浮かべる選手たち。
同じ泳法なのに、何でそんなに純粋に褒められるのだろうか。
だって私たちはいわゆるライバルで。
自分以外の人は皆、敵なはずなのに。
どうして……。


「……ありがとうございます……」


私には分からない。
でも、心が小さく揺れるのを感じた。


「まだ……完璧には堕ちていないみたいだな……」


誰かの呟きが聞こえたと同時に私は腕を引っ張られる。
驚きながらも振り向けばそこには原田選手がいた。
その顔はさっきの哀しそうな顔ではなくて、真剣そのもので、思わずゴクリと唾を飲む。


「真希ちゃん、ちょっといいかな」

「……はい」


私が頷いた事を確認すれば、そのまま引っ張られて何処かへと連れていかれる。
周りの人たちは驚いていたけれど、原田選手は気にする事無く歩き続けていた。

何の話か、なんて、容易に想像がつく。
先生の事や私の泳ぎの事だろう。
誰に何を言われたって、私は変わる事はないのに。
そう思いながらも原田選手についていく。

繋がれる手も、私の目の前に広がる大きな背中も。
ココにはいない先生の面影を感じる。

先生と原田選手は全然違うはずなのに。
どこか先生と似ていて見ているだけで胸が痛くなるんだ。

それでも、涙なんかは出ない。
今まで十分に泣いた。
これ以上は時間を無駄にする訳にはいかない。