「す……凄くないかアイツ……」
「高瀬 真希だろ?
あの世界記録に並んだ……」
練習が始まって数十分。
私は選手たちの視線の的へとなっていた。
ヒソヒソと声を潜めて話す選手たちに目を向けることなく練習にだけ打ち込む。
大きなプールは泳ぐにはうってつけの環境で伸び伸びと練習をすることが出来る。
これだけの人数がいるのに狭いと感じさせないこの空間は水泳好きにとっては堪らないはずだ。
「高瀬!」
「はい」
100メートルを泳ぎ切りプールから上がれば、自由形の担当の先生に呼ばれた。
面倒臭いな、そう思いつつ先生の元へと足を向ける。
「いい感じだな、その調子で頑張れよ!
他の選手のいい見本となってくれ」
肩を叩かれて『もう1本行って来い!』と豪快に笑う男性。
それに頷き返してプールへと向かう。
「あの先生に褒められるとかヤバいな」
「ああ、俺なんてボロクソに言われたぜ」
「俺も俺も!!」
またもや私へと視線が突き刺さる。
私の事を言われているというのにどこか他人事の様な気がする。
どんな言葉も私には届かない。
褒められても、貶されても、大差はなくて。
感情すら私から消えていくんだ。
「……」
沢山の視線が私に集まる中、一際強い視線が向けられた。
それは噂話をする選手たちのものではない。
視線だけを向ければそこには原田選手がいた。
彼もまた自由形の担当だけど、さっきまでは違う選手たちを見ていたはずだ。
なのに今は真っ直ぐに私を見ていた。
声を掛ける事も、呼ぶ事も無く、ただ私に視線を向けるだけ。
でもその顔は哀しそうに歪んでいる。
「……」
最近よく見る顔だ。
原田選手だけではなく、高岡くん、部の先輩たち、友達や両親。
皆、同じような顔で私を見てくるんだ。
「高瀬 真希だろ?
あの世界記録に並んだ……」
練習が始まって数十分。
私は選手たちの視線の的へとなっていた。
ヒソヒソと声を潜めて話す選手たちに目を向けることなく練習にだけ打ち込む。
大きなプールは泳ぐにはうってつけの環境で伸び伸びと練習をすることが出来る。
これだけの人数がいるのに狭いと感じさせないこの空間は水泳好きにとっては堪らないはずだ。
「高瀬!」
「はい」
100メートルを泳ぎ切りプールから上がれば、自由形の担当の先生に呼ばれた。
面倒臭いな、そう思いつつ先生の元へと足を向ける。
「いい感じだな、その調子で頑張れよ!
他の選手のいい見本となってくれ」
肩を叩かれて『もう1本行って来い!』と豪快に笑う男性。
それに頷き返してプールへと向かう。
「あの先生に褒められるとかヤバいな」
「ああ、俺なんてボロクソに言われたぜ」
「俺も俺も!!」
またもや私へと視線が突き刺さる。
私の事を言われているというのにどこか他人事の様な気がする。
どんな言葉も私には届かない。
褒められても、貶されても、大差はなくて。
感情すら私から消えていくんだ。
「……」
沢山の視線が私に集まる中、一際強い視線が向けられた。
それは噂話をする選手たちのものではない。
視線だけを向ければそこには原田選手がいた。
彼もまた自由形の担当だけど、さっきまでは違う選手たちを見ていたはずだ。
なのに今は真っ直ぐに私を見ていた。
声を掛ける事も、呼ぶ事も無く、ただ私に視線を向けるだけ。
でもその顔は哀しそうに歪んでいる。
「……」
最近よく見る顔だ。
原田選手だけではなく、高岡くん、部の先輩たち、友達や両親。
皆、同じような顔で私を見てくるんだ。

