夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

授業が終わり部活が始まろうとしていた時間。
私は制服のままプールサイドに立っていた。
結局、授業には戻らずにずっとここにいたんだ。

少し離れた所には部員がいる。
泳げる事が嬉しいのか楽しそうに騒いでいる皆を少し離れた所で眺めていた。
少し前までは、昨日までは、私もあそこにいた。
だけど皆と一緒にいる権利なんて私はない。
本当ならこの場にいてはいけない人間なのに。
でも逃げる事も出来ないのだ。
私が部活に出ていない事が校長先生に知られれば先生に迷惑が掛かる。
これ以上私のせいで先生を苦しめる訳にはいかない。
それだけの為に部活に来た。


「高瀬……」


勿論、部活には高岡くんもいて心配そうに私を見ていた。
でも私は視線を交わらせる事はしなかった。


「お前ら集合しろ!!」


いきなりの大声に視線がそっちへと向いた。
そこには体育会系の教師がいた。
先生以外の教師がココに来る事はない為、皆は不思議に思っているみたいだった。
戸惑いながらも集まる皆。
私は1人その集合を無視して壁へと寄りかかる。


「……」


体育会系の先生は私をチラリと見たけれどすぐに顔を逸らした。


「伊藤拓哉だ。
今日から水泳部の新しい顧問に就任した。
よろしくな!」


先生と同じくらいの年齢の伊藤先生。
でも先生とは全く違った。
こんがり焼けた肌も大きな声もガッシリとした体形も。
全部違う。
聞こえてくる声も私が好きな優しい声じゃなくて明るくてはっきりとした声。


「……え!?」

「どうして伊藤先生が!?」

「蒼井先生は!?」


驚く部員たちに伊藤先生は大袈裟なまでに肩を落とした。


「ご実家の都合で学校をお辞めになったんだ。
急な事で皆も思う所はあるだろうがこれから一緒に頑張ろう!」


嘘つき。
頭に呪文の様に繰り返される言葉。

伊藤先生が事情を知っているか知らないかは分からない。
だから何も言わないけれど皆にはきちんと説明をしなければいけない。


「あの……」


私が口を開けば皆はこっちを向いてくれる。