夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

「泳ぎます。この学校で。
だから先生から教師を奪わないで下さい」


傷ついてもなお新しい夢を見つけた先生。
その夢まで先生から奪わないで。
もう先生を傷付けないで。


「そうか!」

「いい判断だな、高瀬君」


さっきと打って変って笑顔の校長先生たち。
その笑顔が怖い。
人間なん自分勝手で醜くて汚い。
この人たちを見ていると本当にそれしか思えない。


「高瀬さん……」


哀しそうな先生の声。
先生には全てばれているんだろうな。
作り笑顔も、闇に呑み込まれている心も。
結局先生には今まで心配しか掛けていないな。
そう心で呟いて笑顔を浮かべた。
だけど、どう頑張ったって下手くそな作り笑いしか出来なかった。


「高瀬君!君は教室に戻りなさい」

「……はい……」


もう変えられない現実。
先生は学校を辞めさせられてしまうし、私は何も出来ずにココに留まる事しか出来ない。
扉に向かって歩くけど足は重くてなかなか進まない。
ココから出れば先生はもう私の先生じゃなくなって。
もう2度と会えなくなるかもしれない。
それなのに……。
私はこのまま出て行っていいの?
何度も自分に問うけれど答え何て返ってこない。
でも心は違った。
頭で出せなかった答えを心が、体が、代わりに出してくれた。


「先生!!」


クルリと向きを変えて一直線に先生に向かって走り出す。
驚く校長先生たちの声を遠くで感じながらも止まる事はしなかった。
タックル同然に先生の胸に飛び込んで両手を伸ばす。


「……っ!?」


私の両手は先生の襟元をガッシリと掴んでいた。

唇には柔らかい感触。
鼻を掠める先生の香り。
私の頬を撫でるフワフワとした髪の毛。

その全てを刻み込む。
私の心にも体にも。
決して先生を忘れない様に。

大好きな先生の温もりをいつまでも覚えていられる様に。