夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

「君に辞められたら困るんだ!!」

「そうだ!我が校の名誉にも関わる!!」


そう言って叫ぶ校長先生たち。
それはどの言葉よりも重みがあるって気が付いた。
そうか、そうだったんだ。
1人で納得をした様に薄い笑みを浮かべる。
先生は別として。
校長先生も教頭先生も私の事なんて考えていない。
校長先生たちが考えているのは……。


「私が辞めたら選抜候補が1人減るからですか?
学校の名前に傷がつくからですか?」


訊ねる様に言ったけれど確信は持っていた。


「そ、それは……」

「べ、別にそうだとは……」


分かりやすいくらいのどもり様に笑いしか出てこない。
別に哀しい訳じゃない。
泳ぎを必要としてくれているなら嬉しいし、学校の名前に傷をつけたい訳でもない。
でもやっぱり利用されるのは嫌だ。
だって学校の為に泳いでいる訳ではないのだから。
私は、私の為に泳いでいる。
それは揺るぎのない事実で、ココに私を留める理由にはならない。
でもどうしても私を利用したいというのなら。


「この学校に残ります」

「本当か!?」

「でも先生は辞めさせないで下さい!!
私は先生の元で泳ぎたいんです!!」


取り引きなんてしたくはないけれど。
これが私の守り方だ。
先生が一緒なら私が辞める理由はないのだから。
深く頭を下げるけれど一向に答えは返ってこない。
やっと返ってきた言葉は私を絶望に落すには十分だった。


「調子に乗るな!!
お前はただ泳いでいればいいんだ!!」

「学校に貢献するのが生徒の義務だろう!
蒼井先生は辞めさせる。これはもう決定事項だ」


ただ泳いでればいい?
それが侮辱にしか思えない。
水泳を馬鹿にするな。
泳ぐ事を簡単に言うな。


「だったら私がココにいる意味はないです。
やっぱり辞め……」

「君が辞めるなら蒼井先生の教師人生を潰す」


私の言葉は宙に堕ちて消えていく。
脅迫じみた校長先生のひと言が重く私に伸し掛かってきた。