夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

「高瀬さん」


いつもと変わらない優しい声。
いつもはその声を聞くだけで嬉しくなっていたのに今は哀しいの。
胸が張り裂けそうで辛いの。
でも、それでも私は先生が好きだから彼の顔を見上げてしまう。
視線が交じり合えばフワリと柔らかい笑顔を向けてくれる。


「僕は、たった一瞬でも嘘を吐きたくなかったんです。
キミが好きだという気持ちを偽りにはしたくないから」


そうだ、そうだった。
先生はこういう人だった。
いつも優しくて私を真っ直ぐに見つめてくれる。
そんな先生を好きになったのに。
私は1人で逃げ出そうとしてしていた。
私だって……。
自分の気持ちに嘘を吐きたくない。
そう思っていたのに。


「蒼井先生!君には学校を辞めて貰う。
不純な想いを持っている教師を我が校に置いとく訳にはいかないからな」

「幸い、まだ大事にはなっていない。
直ぐに違う勤め先が見つかるだろう。
詳細はまた後日……」

「待ってください」


校長先生と教頭先生の話を遮って声を上げた。
皆の視線が一気に突き刺さる。
もちろん先生も。
先生は心配そうに私を見ていた。
ごめんなさい先生。
心配ばかり掛けてしまって。
でも、もう覚悟を決めました。
だから見守っていて下さい。
深く深呼吸をして校長先生たちを見つめた。


「私、高瀬 真希も蒼井先生の事が大好きです!!」


半ば叫ぶように放った言葉。
もう後悔なんてしない。
これが私の気持ちなのだから。
先生だけに辛い思いをさせない。


「だから、私も学校を辞めます」


自分の気持ちを押し殺してまで学校にしがみ付く理由なんてない。
部活や高岡くんや由梨、他の友達の事は勿論頭に横切ったけれど学校だけが繋がりじゃないって信じているから。
水泳だって何処にいたって出来る。
でも先生を1人にする事なんて出来ない。