由梨には先生が好きと言う事は話してあった。
と言うよりはバレタので観念をした訳だけども。


「ごめんって!」


軽く睨めば両手を顔の前に掲げながら謝る由梨。
彼女に悪気がない事なんて百も承知だし、私も本気で怒っている訳じゃない。
それが分かっているからこそ由梨も口元を僅かに緩めているのだろう。


「謝る気ないでしょ!」

「分かってるねー流石、真希」


満面な笑みで答えられると私まで笑ってしまう。
2人で笑い合ってもう1度廊下に視線を向ければさっきまでいた3人組は居なくなっていた。


「本当にしつこいわね」

「まあ、何もしてこないからいいけど」

「……嵐の前の静けさってやつかもよ」

「恐い事言わないでよー」


由梨の脅しは軽く流したけど。
実は私も同じ様な事を考えていた。
このまま終わるとは思えないんだよね。


「まっ、考えても仕方ないか!」

「ん?」

「あー何でも!さてソロソロ部活に行きますか!」

「そうだねー。
今日も地獄の特訓だー」


口ではそう言っていても楽しそうな由梨。
バレー部のエースとも言われるほど実力も折紙つきだ。
バレーが好きだという気持ちが体から溢れ出ていた。


「お互いに地獄で戦い抜こうね!」

「おうよ!」


ハイタッチをして一緒に教室を出た。