11月に入り相変わらずの部活漬けの人生を送っている私は席替えをしたばかりの教室でタメ息を吐いていた。


「何で席替えをしたって言うのに隣と後ろは同じな訳!?」


入学をしてから何度か席替えをしてきたけれど、何故かいつも変わり映えのない顔が2つある。
それは高岡くんと由梨の事だ。
まあ、仲が良いから嬉しいんだけど。
ココまで来ると恐怖すら感じる。
そう思っていれば後ろから強めに頭を叩かれた。


「痛ッ!?」

「なーに?文句でもある訳?」


由梨が何とも恐ろしい顔で笑っているので大袈裟なくらいに首を横に振る。


「あ、ある訳ないじゃないですかー。
わー嬉しいなー……」

「棒読み感半端ないけど」

「冗談だって!
嬉しいに決まってるじゃん」


これは本音だった。
クラスの皆とも仲が良いけど、やっぱり由梨が1番しっくりとくる。


「なら良いけど」


2人で笑いハイタッチをする。
特に意味はないけれどどんな事でも由梨となら楽しめるんだ。
そう思っていれば鋭い視線が私に突き刺さっていた。
教室の外を見ればドアの所に3人の女子生徒がいた。


「懲りないねアイツらも」

「ねー……。
ってか高岡くんと付き合ってるってまだ誤解されてるんだけど」


私と高岡くんはクラスも部活も一緒だから必然と一緒にいる時間が多くなる。
だから“付き合っている”という噂がまだ消えていないのだ。
タメ息を吐けば由梨が呑気な声を上げた。


「言っちゃえばいいじゃない!
『私が好きなの先生なの!』って……ぶっ」

「ちょっ!?」


急いで由梨の口を両手で塞いで言葉を呑みこませる。
何を言っているんだこの人は。
呆れながらも由梨を睨めば『ごめん』と目が謝っている気がしたので解放をする。