「ふふっ」


嬉しさが隠せずに笑えば先生は拗ねた様に口を尖らせて、私の頬をプニプニと指でつまんだ。


「何で笑うんですか……」


先生の顔が可愛くてニヤケが止まらない。
そんな私を見ながら先生は優しく微笑んでくれる。
その笑顔につい本音が零れてしまうんだ。


「だって、凄く嬉しいですから」

「嬉しい……ですか?」

「はい!だって先生は他の人の事が考えられないくらい……。
私の事を考えていてくれたって事ですよね?」


それが嬉しくない訳がない。
感情を素直に面を出せば先生は驚いた様に目を見開いていた。
でも直ぐに優しく目を細めてゆっくりと頷く。


「そうですね。
僕はいつだって高瀬さんの事で頭がいっぱいですよ」


まさかこんな答えが返って来るとは思わなかったけれど。
でも、それが凄く幸せで。
そんな幸せに浸る様に私も目を細めた。


「私も先生の事で頭がいっぱいです」

「え?」

「先生と一緒に夢を叶える事しか考えていません」


それもあるけれど。
本当は違う。
純粋に先生が好きっていう気持ちでいっぱいだけど、この事を言ってしまえばきっと元には戻れなくなる。
だから、自分の気持ちに蓋を閉めて私は笑うんだ。
今は、今だけは何も考えずに幸せを感じていたいから。

教師とか、生徒とか。
夢とか約束とか。
全部を忘れて。

高瀬 真希という1人の人間が蒼井 優哉という1人の人間に恋をしている。
それだけを感じていたい。