夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

「……気持ちよさそうだな……」


私が目を向けるのは自由形専用のプール。
自由形専門だったもんな私。
思い出す様に目を細めた。
他の泳ぎはほとんど出来ない。
ただひたすら自由形を極めてきた。

個人メドレーとかも出てみたかったな。
自由形以外は泳げないけど。

1人でプールを眺めていれば後ろから足音が聞こえてきた。
やばい、見つかった?
そう思いながらも私はずっとプールを見続けていた。

と言うより。

“目を離したくない”って言った方が正しいかもしれない。
少しでも長く私は水泳と触れ合っていたい。
やっぱり私……水泳が好きだ。


「高瀬さん」

「……蒼井先生」


振り向けばニコリと笑う先生が目に映った。
さっきの足音は先生だったんだ。


「こんな所にいないで中で見学してください」

「……いえ、もう帰りますから」


私は先生から目を離し俯きながら横を通り過ぎようとした。


「高瀬さん」

「……」


でも体は動く事なく止まっていた。
何故なら先生が私の腕を掴んだから。


「離してください」

「高瀬さんキミは水泳が好きなんでしょう?
今でも……ずっと……」

「……いえ」


スキだよ。
頭がおかしくなるくらい水泳で頭がいっぱいだ。


「本当は泳ぎたいんでしょう?」

「……いえ」


泳ぎたい。
今すぐプールに飛び込んで前みたいに我武者羅に泳ぎたい。

でも。
私にはそんな勇気はないから。
正反対な事を口にして逃げる道を選び続けている。