“そんな事はないですよ”なんて無責任な言葉を言う事は出来ない。
原田選手が苦しんできたのは事実だし、その重みも知らない私の言葉なんて彼を救う手助けにもならない。
無力な自分を恨んでいれば原田選手はフワリと笑みを浮かべた。
でもそれは哀しそうな、後悔をした顔で。
そんな顔で笑わないで欲しいのに。
もう傷ついて欲しくないのに。
相応しい言葉が見つからない。
「……」
黙り込む私に軽く笑顔を向けてから原田選手はプールへと視線を変えた。
まるでそこに誰かがいる様に優しく目を細めて。
でもやはりその顔は哀しそうだった。
「アイツは本当に凄い選手だったよ。
平泳ぎをさせたら横に出るものは誰も居なくて。
“天才”というのは正にアイツの為にある言葉だった」
彼の目には泳いでいる先生の姿が映っているのだろう。
高校時代の、彼が怪我をする前の本当の泳ぎが。
「本当に無敵だったよ」
哀しそうな声が何を意味しているのかは分からないけれど。
原田選手はきっと何かを抱えているんだ。
それは、先生にも言えていない、ずっと重たいもの。
何故かそんな気がしてならなかった。
そう思っていれば原田選手はいきなり頭を横に振った。
その姿は、形も分からないその“重たいもの”を振り払うかの様だった。
「怪我をして水泳人生に無理やり終止符を打たされて。
夢も希望も何ひとつ無くしたアイツを。
絶望の闇に呑み込まれていたアイツを君が変えてくれたんだ」
「え?」
「真希ちゃんの泳ぎが蒼井に新しい夢を与えてくれたんだよ」
原田選手の言っている事が理解できない。
だって全く身に覚えが無いもの。
私が先生と出逢った時には既に先生は新しい夢を持っていた。
なのに何で原田選手はこんな事を言っているのだろうか。
呆然とする私を見て原田選手はフッと力なく笑った。
「君は知らなくて当然だよ。
蒼井が君の出ている水泳大会を見に行ったのがきっかけだったからね」
「私が出ている大会……?」
よく分からず首を傾げれば原田選手は頷きながら私を見た。
原田選手が苦しんできたのは事実だし、その重みも知らない私の言葉なんて彼を救う手助けにもならない。
無力な自分を恨んでいれば原田選手はフワリと笑みを浮かべた。
でもそれは哀しそうな、後悔をした顔で。
そんな顔で笑わないで欲しいのに。
もう傷ついて欲しくないのに。
相応しい言葉が見つからない。
「……」
黙り込む私に軽く笑顔を向けてから原田選手はプールへと視線を変えた。
まるでそこに誰かがいる様に優しく目を細めて。
でもやはりその顔は哀しそうだった。
「アイツは本当に凄い選手だったよ。
平泳ぎをさせたら横に出るものは誰も居なくて。
“天才”というのは正にアイツの為にある言葉だった」
彼の目には泳いでいる先生の姿が映っているのだろう。
高校時代の、彼が怪我をする前の本当の泳ぎが。
「本当に無敵だったよ」
哀しそうな声が何を意味しているのかは分からないけれど。
原田選手はきっと何かを抱えているんだ。
それは、先生にも言えていない、ずっと重たいもの。
何故かそんな気がしてならなかった。
そう思っていれば原田選手はいきなり頭を横に振った。
その姿は、形も分からないその“重たいもの”を振り払うかの様だった。
「怪我をして水泳人生に無理やり終止符を打たされて。
夢も希望も何ひとつ無くしたアイツを。
絶望の闇に呑み込まれていたアイツを君が変えてくれたんだ」
「え?」
「真希ちゃんの泳ぎが蒼井に新しい夢を与えてくれたんだよ」
原田選手の言っている事が理解できない。
だって全く身に覚えが無いもの。
私が先生と出逢った時には既に先生は新しい夢を持っていた。
なのに何で原田選手はこんな事を言っているのだろうか。
呆然とする私を見て原田選手はフッと力なく笑った。
「君は知らなくて当然だよ。
蒼井が君の出ている水泳大会を見に行ったのがきっかけだったからね」
「私が出ている大会……?」
よく分からず首を傾げれば原田選手は頷きながら私を見た。

