夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

悔しい想いを沢山してきたからこそ、今の平井くんがいるのだ。
だから彼はちょっとやそっとでは倒せない相手だろう。

高岡くんを信じている。
信じているが、少し胸の中に不安が生まれた。
それを感じ取ったのか先生は私の肩へと触れた。


「大丈夫ですよ。
高岡くんが今まで頑張ってきた事は高瀬さんが1番よく知っているでしょ?」


そうだ。
高岡くんは、敗北を乗り越えてからというもの死ぬ物狂いで練習に励んでいた。
悔しさを、哀しさを。
全てを勝利へと繋げられる様に頑張ってきたんだ。

だから、そんな彼の頑張りを私が信じないでどうするのだ。
グッと掌を握って前を向く。
視線の先には準備運動をしている高岡くんがいる。
彼の真剣なその眼差しの先には“優勝”という2文字しかない。
それが分かった私はフッと頬を緩めた。


「そうですね!」

「はい」


先生と笑い合っていれば、試合が始まろうとしていた。
慌てて高岡くんを見つめればゴーグルをつけて準備満タンな彼が目に映る。


「……始まる……」


私の呟きと共にスタートの合図が鳴り響いた。

一斉に飛び込む選手たち。
高岡くんの飛び込みは綺麗で、どの選手よりも遠くに飛び込んでいた。
出だしは順調だ。
だけどそれは彼だけじゃない。
隣のコースに目を向ければ彼と同じくらいの速さを披露する人がいた。
それは勿論、平井くんだ。
長い手足を活かした泳ぎは本当に綺麗で絵になる様な泳ぎだった。
態度は大きいけど、彼は選手として凄く才能がある。
その事が一瞬で分かる。


「接戦ですね……」

「……はい、2人とも……凄い……」


どちらも負けず劣らずで1歩も譲らなかった。
高岡くんがリードをすれば平井くんが追い抜かす。
そしてまた高岡くんがそれを抜かす。
逸れの繰り返しだった。