「真希ちゃん!ちょっと気合入りすぎじゃない!?」

「高岡は部活に来ない、真希ちゃんは無茶苦茶な量の練習をするし。
2人とも何かあったのか?」

「大丈夫?無理するなよ!」


部活時間に先輩たちが心配そうに話し掛けてくれる。
それに軽く首を振って笑顔を浮かべた。


「いえ、何もないですよ。大丈夫です。
今の私にはこれしか出来る事がありませんから」

「え?」

「……いえ!」


先輩たちに会釈をして私は再びプールへと飛び込む。
今日、何本目か分からない100メートルを泳ぎだす。
私はいつも以上に泳ぎ込んでいた。
皆が心配をするくらいの練習量をこなす中で私は胸に秘めた思いを泳ぎにぶつけていた。


「……高瀬さん」

「……はい……!」


泳ぎ切った私の前に先生が現れる。
驚きながらも返事をすれば先生は小さく笑い私の肩をポンと叩いた。


「部活が終わったらお話があります。
だから残っていて下さい」

「……はい」


先生に返事をして私は再び飛び込み台へと向かう。
先生の話は大方は分かっている。
高岡くんの事とこの練習量の事だろう。

それは分かっているがやめる気はない。
だって。
この方法しか思いつかないのだから。
そう心で呟きながら私はプールへと飛び込んだ。