「高岡くんは今日もお休みですか……」


先生の哀しそうな声が教室に落される。
それにつられて隣を向けば空席が目立っていた。
高岡くんが部活どころか、学校を休む様になってから1週間。
私も、先輩たちも、先生も。勿論クラスメートも。皆、彼を心配していた。
特に先輩たちは理由を知らないから驚きを隠せないでいる。
あの高岡くんが部活を休むなんて信じられないのだろう。
学校は休んだとしても、部活だけは来そうな彼だからこそ、心配が大きくなるのだろう。


「……」


私は、理由を知っているのに何も出来ない。
どうしていいか分からない。
彼の気持ちは彼にしか分からない。
だけど、それでも力になりたいんだ。


「高岡の奴どうしたんだろうね、真希」

「……大丈夫だよ」

「え?」

「彼はきっと、ううん。
絶対に乗り越えるから」

「は?」


私の後ろでキョトンとする由梨をよそに私は笑顔を浮かべた。
必ず私があなたを救って見せる。