強く決心をしていれば、先生の哀しそうな声が響き渡った。


「高瀬さん。
キミは後悔していませんか?」

「え?」


いきなりの言葉に私は首を傾げる。


「……皆さんともう1度、泳ぎたいんじゃないんですか?」

「……」


先生の真剣な目つきが私を捕えて離さない。


「……」


何も言えずに私は先生を見つめていた。
そりゃあ後悔はしている。
私は勿論皆も。


「真希さん」

「……出来る事ならあの時に戻ってやり直したい。
皆でまた泳ぎたい」


今まで言えなかった想いが先生に暴かれていく。
私は先生に嘘なんかつけない。


「皆で交わした夢も約束も忘れられる訳ない。
でも……!!」


過去には帰れないから。
私は、私たちは。


「前に進むって決めたんです。
それぞれの道へと……」

「そうですか……」

「はい」


それが正しいかどうかは分からない。
でも私たちなりに決めた事だ。


「皆さんはバラバラの学校に?」

「いえ、荒城高校に進みました。
小・中・高・大の一貫校ですから……」


エスカレーター式で皆はそのまま進学した。
私も本当は荒城高校に行くつもりだったけど、あの事件の事が広まりすぎたせいで行きずらくなったんだ。
でも何でそんな事を聞くのだろうか?


「……」

「先生……?」

「……え……?あぁ何でもないです。
そろそろ寝ましょうか?」

「……はい」


先生は私の頭を撫でると電気を消してくれた。