夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

「た……高岡くん?」


振り向けば怖い顔をした高岡くんが目に映った。
もうとっくに帰ったんじゃ、驚いていれば松葉杖をつきながら高岡くんは平井くんへと近づく。


「いい迷惑はこっちの台詞だ!!」


そう怒鳴ると今度は三井先生の方を見る。


「高瀬はアンタのせいで1度、水泳を辞めたんだぞ!」

「なっ……!?」


高岡くんの言葉に三井先生は私の方を向く。
私は口を開く事なく三井先生を見続けた。


「1年近く大好きな水泳が出来なくなって……。
ずっと苦しんできたコイツの辛さがテメェに分かるのかよ!!」


私の怒りを、私の哀しみを。
変わりに伝えてくれる高岡くん。


「はっ!
先生のせいにしてんじゃねぇよ!
自分の下手さに嫌気がさしたんじゃねぇ?」

「何だと!?」


平井くんは嫌味っぽく言い放つが私は特に何とも思わなかった。
でも、何で私より高岡くんが怒るかな。
しかも、先生まで怒っている。
口には出さなくても先生の雰囲気が私を抱きしめる力の強さが先生の怒りを表していた。


「コイツが下手……?確かにそうだろうよ」


あっさりと認める高岡くんに少し反論をしたくなった。
そりゃあ高岡くんよりはかなり下手だけども、私だって精一杯頑張ったつもりだ。
不貞腐れた様に高岡くんを見れば彼は真顔で言葉を放った。


「だってコイツは2週間前まで平泳ぎが全く出来なかったからな」

「……はっ……?嘘ついてんじゃねぇよ!」


流石の平井くんも言葉に威力がなくなっていた。
凄く驚いた顔している。


「嘘じゃねぇよ。
怪我した俺の代わりに平泳ぎで出る為に必死で練習して今日の結果を生み出した……」


高岡くんの声が震えだす。
それが怒りなのか哀しみなのかは分からない。

でも。
私の為に感情をぶつけてくれているのは分かる。


「そんなコイツがテメェに僅か何秒まで迫った。
下手なのはテメェだろうが」

「ふざけるな!!俺が下手だと……!?」

「ああ、テメェなんか俺の足元にすら及ばねぇよ」

「ざけんなっ!!」


喧嘩腰の高岡くんに怒り狂った平井くんは彼の胸ぐらを掴んだ。


「た……高岡くん!!」


カランカランと松葉杖が高岡くんの腕から落ちる。