夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

「諦めかけた……?」

「彼女は……あなたのせいで泳げなくなった」

「は……?
何言って……さっきだって泳いで……」


三井先生はハッとした様に私を見てくる。


「だから平泳ぎを……」


少し誤解はあるが、三井先生の反応は意外なものだった。
辛そうに私を見ている。
どうして、どうしてそんな顔をするの?
その理由が気になって私は三井先生に声を掛けようと口を開く。


「三井先生!」


でも先を越されてしまったみたいだ。
誰かが三井先生を呼んだ。


「平井か。どうした?」


平井と呼ばれた選手には見覚えがあった。
胸にぶら下がっている金メダル。
そうだ、彼は平泳ぎで優勝した選手だ。


「三井先生を探してたんです!
んっ……?アンタ……」


平井くんは私を見ると『あぁ』と不敵な笑みを浮かべた。


「高瀬 真希でしょ?
荒城中学で天才少女って騒がれてた」


平井くんはフッと笑いながら私を上から下まで見る。
そして私の手にある銅メダルを見て馬鹿にした様に笑う。


「天才少女も大した事ないな。
3位まで落ちぶれたか」

「……」


平井くんの言葉に私は何も言い返せなかった。
だって彼の言っている事は事実だから。
私は3位だったし、彼にも負けた。
でも。


「それが何か?」


私はもう悔しくはない。
先生が言ってくれたから。
今日の泳ぎは前よりも水泳への想いが伝わってきたって。
だから、このメダルは私にとっては金メダル以上の価値がある。


「はっ……。
アンタ如きが天才と呼ばれてたなんて信じられねぇな……」

「平井……やめろ」

「三井先生……?」

「コイツは元々……。
自由形の選手だ」


三井先生は低い声で平井くんを制した。
どうして三井先生が私を庇うような事を。


「三井先生?
ああ……そう言えば先生って前は荒城中学にいたんですよね?
コイツも先生の教え子って事か」

「ああ」

「こんな奴が三井先生の教え子とか笑えますね!」


平井くんは私を見ながらゲラゲラと笑う。


「大した実力もないくせに図に乗って先生もいい迷惑ですよね?
でも大丈夫ですよ!俺がいますから」

「ふざけんなっ!!」


平井くんの笑い声を遮る様に何処からか怒鳴り声が聞こえてきた。