水泳に打ち込む日々はあっという間に過ぎ今日は終業式だ。


「わ~明日から部活漬けの日々か~」

「そう言いながら楽しそうだね由梨!」


式も終わり周りは通知表の話題で盛り上がっている中で私と由梨は部活の話に花を咲かせる。


「真希だって楽しそうじゃん?」

「私は楽しいよ!」

「あーはいはい。
三角関係でウハウハですもんね?」


由梨の発言に顔が熱くなる。
三角関係なんてないって何度も言っているのに彼女は聞き入れようとはしなかった。
私は純粋に泳げるから楽しいと言っているのに。


「由梨!」

「あはは!冗談だって!」


絶対に冗談じゃないでしょ。
軽く睨めば由梨はゲラゲラと笑い出す。


「でもさ……。
本当に良かったよね。アンタがまた泳げるようになって」

「由梨……」

「アンタがどれだけ苦しんできたかとかはよく分からないけどさ……」


由梨はガシガシと頭を掻きながら照れた様に言い放った。


「真希が頑張ってきた事は知ってるから泳げる様になって本当に嬉しい」

「由梨……」


知らず知らずに由梨にも心配かけていたんだな。
そう思うと胸が苦しいけど由梨の想いが嬉しすぎてどうにかなりそうだ。


「大会……頑張ろうね!お互いにさ!」

「うん!」


由梨もバレー部の大会がある。
残念なことに試合日が重なって応援にはいけないけど心では誰よりも応援してる。
頑張れ、由梨!


「やっばー!部活遅れる!!」


由梨と話し込んでいたらすっかりと遅くなってしまった。


「じゃあアタシはこっちだから!」

「うん!じゃあね由梨!!」


軽く手を振りながらダッシュで廊下を駆け抜ける。
急がなきゃ先生に練習を5倍にされる。
本当に優しい顔して意外に怖いからな。
先生の裏の顔を思い出していれば低い声が私を止める。


「ちょっと待てよ」

「へ?」

「へ?じゃねぇよ」


えっとこの人たち確か、見た事がある女子3人組。
誰だっけ?
首を傾げれば鼻で笑われる。


「まさかアタシたちの事忘れたとか言わないでよ?」

「えっと……」

「馬鹿じゃねぇ?自分を呼び出した奴の顔忘れるとか!」


その言葉に私は納得した様に手を叩いた。


「体育館裏の!」

「そう……やっと思い出したな」


ニヤリと笑う3人。すっかり忘れていた。
あれから呼び出しとかなかったし。
まあ、机の中にラブレターは毎日入っていたけど。
うんうんと頷いていれば女の子の1人が私の胸ぐらを掴んだ。