「先生……!!」
「キミは泳げないと決めつけて、いつも同じ所で止まってしまっていました」
言われてみればそうだ。
最初に泳いだ時、15メートルを超えた所で過去を思い出し溺れてしまった。
その時から私は15メートルに勝手に壁を作っていたんだ。
泳いでいる時にチラチラと距離を確認する癖がついたのも、15メートルを意識してたからだ。
そして溺れてしまう。
「でも……本当は泳げたんです。
最初からキミは泳げる力を持っていた」
「え……?」
「ここさえ乗り越えればキミはもう……大丈夫です」
先生は優しく私を引き寄せる。
「で……でも!
大会の時とか……過去が浮かんだら私は……」
溺れてしまう。
そう言おうとした。でも言えなかった。
なぜなら先生に水の中に引き込まれたから。
何をして……。
先生がしたい事が分からず呆然と先生を見つめる。
その時、私の頭に過去がよぎった。
男子部員にキスされた事。
三井先生に襲われかけた事。
鮮明に頭に浮かぶ。
怖くて、怖くて何も考えられなくなる。
頭が真っ白だ。恐怖で体から力が抜ける。
もう駄目。
目を閉じかけた時、唇に柔らかい感触を感じた。
目の前に先生の顔がある。
“キス”
そう理解するのに時間はいらなかった。
先生の唇の柔らかさが私を落ち着かせてくれる。
そして……。
浮かんでいた過去が1つずつ消えていく。
男子部員の厭らしい笑みがパンッと泡が弾けるように消える。
三井先生の怪しい笑みも細かな小さな泡へと変わっていく。
「せ……先生!?」
水から顔を出す私と先生。
ビックリした私は先生を見つめる。
「勝手にキスをしてすみませんでした。
僕を恨んでも構いません、嫌っても構いません」
「そんな……」
私はフルフルと首を横に振る。
恨んだりもしない。嫌いになったりもしない。
不思議と私の胸は温かくなっていたんだ。
キスは特別なモノなのに、初めてなのに。
嫌じゃない。むしろ嬉しかった。
よく分からない感情が私を取り巻いていた。
「キミはもう大丈夫。
2度と過去を思い出さない」
「どうして……」
「キミの嫌な思い出は全部僕が塗り替えましたから」
「先生……」
「思う存分……楽しく泳いでいいんですよ」
先生の言葉が不思議なくらい胸に溶け込んでくる。
「大丈夫です」
先生の“大丈夫”は私の背中を押してくれる。
まるで魔法にかかったみたいに心が軽くなった。
「……はい。もう……大丈夫です……」
「ふふっ」
先生の柔らかい笑顔がいつも私を励ましてくれる。
もうきっと。
ううん、絶対に大丈夫。
過去なんかよりも今日のキスが私の頭に浮かぶだろう。
「キミは泳げないと決めつけて、いつも同じ所で止まってしまっていました」
言われてみればそうだ。
最初に泳いだ時、15メートルを超えた所で過去を思い出し溺れてしまった。
その時から私は15メートルに勝手に壁を作っていたんだ。
泳いでいる時にチラチラと距離を確認する癖がついたのも、15メートルを意識してたからだ。
そして溺れてしまう。
「でも……本当は泳げたんです。
最初からキミは泳げる力を持っていた」
「え……?」
「ここさえ乗り越えればキミはもう……大丈夫です」
先生は優しく私を引き寄せる。
「で……でも!
大会の時とか……過去が浮かんだら私は……」
溺れてしまう。
そう言おうとした。でも言えなかった。
なぜなら先生に水の中に引き込まれたから。
何をして……。
先生がしたい事が分からず呆然と先生を見つめる。
その時、私の頭に過去がよぎった。
男子部員にキスされた事。
三井先生に襲われかけた事。
鮮明に頭に浮かぶ。
怖くて、怖くて何も考えられなくなる。
頭が真っ白だ。恐怖で体から力が抜ける。
もう駄目。
目を閉じかけた時、唇に柔らかい感触を感じた。
目の前に先生の顔がある。
“キス”
そう理解するのに時間はいらなかった。
先生の唇の柔らかさが私を落ち着かせてくれる。
そして……。
浮かんでいた過去が1つずつ消えていく。
男子部員の厭らしい笑みがパンッと泡が弾けるように消える。
三井先生の怪しい笑みも細かな小さな泡へと変わっていく。
「せ……先生!?」
水から顔を出す私と先生。
ビックリした私は先生を見つめる。
「勝手にキスをしてすみませんでした。
僕を恨んでも構いません、嫌っても構いません」
「そんな……」
私はフルフルと首を横に振る。
恨んだりもしない。嫌いになったりもしない。
不思議と私の胸は温かくなっていたんだ。
キスは特別なモノなのに、初めてなのに。
嫌じゃない。むしろ嬉しかった。
よく分からない感情が私を取り巻いていた。
「キミはもう大丈夫。
2度と過去を思い出さない」
「どうして……」
「キミの嫌な思い出は全部僕が塗り替えましたから」
「先生……」
「思う存分……楽しく泳いでいいんですよ」
先生の言葉が不思議なくらい胸に溶け込んでくる。
「大丈夫です」
先生の“大丈夫”は私の背中を押してくれる。
まるで魔法にかかったみたいに心が軽くなった。
「……はい。もう……大丈夫です……」
「ふふっ」
先生の柔らかい笑顔がいつも私を励ましてくれる。
もうきっと。
ううん、絶対に大丈夫。
過去なんかよりも今日のキスが私の頭に浮かぶだろう。

