夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

「迷惑を掛けたくない、って思っていますね?」

「え……」


思っていた事を見抜かれて思わず目を見開いてしまう。


「図星ですね」

「うっ……」


私の反応を楽しそうに見ると先生はポリポリと頬を掻いた。


「まったくキミは……。
迷惑ぐらいかけてください」

「先生……」


先生の言葉にじわりと胸が熱くなる。
だけど何も言う事が出来なくて俯きながら両手を握りしめた。


「キミは1人で溜め込み過ぎです。
辛い時は辛いって言っていいんですよ」

「……」

「僕が隣にいます。
どんなキミだって受け止めます」

「っ……」


先生の言葉は私の胸の奥に引っ掛かっていたものを優しく取り除いてくれる。
それでも素直になれない私に呆れる事なく先生は私を引き寄せるとポンポンと背中を叩いた。


「大丈夫です」

「私……もう……駄目かもしれないです」


先生は何も言わずに私を抱きしめてくれる。
その優しさに甘える様に私は口を開いた。


「泳げない自分に苛立って、高岡くんに八つ当たりして……」


謝る事も出来なかった。
それに。


「どんなに頑張っても過去が消えない限り私はもう……。
……前みたいには泳げない……」


乗り越えようとしても私を包み込む様に過去は付きまとってくる。


「高瀬さん、過去は変えられないです」

「……はい」


俯く私に気を遣ってか先生は明るい声を出す。


「でも……高瀬さんがこれからを創っていくんです。
過去に囚われてる時間なんて……勿体ないですよ」


勿体ない、か。確かにそうかもしれない。
でも。


「来てください」

「せ……先生!?」


先生は何を思ったのかプールへと入っていく。
そしてど真ん中に行くと両手を広げる。


「ここまで泳いできてください」


何を考えてるか分からない。
でも、先生の優しい声に導かれる様に私はプールへと入る。
そして深く息を吸い込みゆっくりと泳ぎだす。

1メートル
2メートル

泳ぐ度に私の心は晴れ渡る。