「私も早く……泳ぎたい」


高岡くんや部員の皆が一生懸命に泳いでいる姿が胸にくる。
いつまで私はこうして筋トレをしていればいいんだ。


「高瀬さん?」

「先生……」


いつの間にか私の目の前にいた先生が心配そうに私を見ていた。


「どうしたんですか?」

「いえ、何でもありません」


これ以上、先生に迷惑を掛けたくない。
だから私は何も言わずプールサイドで腹筋を始める。


「……」


先生が哀しそうに私を見ている。
でもそれに気付かないフリをしながら腹筋を続ける。


「っ……」


何回やろうと私の頭はスッキリとしなかった。


“泳ぎたい”

“泳げない”


気持ちと現実が上手く一致してくれない。
どして、どうして……。
焦る気持ちを振り消す様に体を動かす。