「高瀬!!遅い!!」


先生と一緒にプールへと向かえば水着姿の高岡くんが私のスポーツバッグを片手に怒っていた。


「ごめん、ごめん」


慌てて彼からバッグを受け取り、自分の肩へとかける。
忘れていたよ。
苦笑いを浮かべながら彼を見れば不快そうに眉を顰める。


「何で2人一緒なんだよ」

「何でって……」


言葉に詰まる私を助ける様に先生が私の肩をポンと叩いてくれる。


「高瀬さんにお話があったので。
さあ、部活を始めましょう、高瀬さんは着替えてきてくださいね」

「はーい」


高岡くんはまだ文句を言いたげだったが、先生の言葉に甘え私は更衣室へと逃げた。
あの状態の高岡くんは面倒くさいもの。
グチグチと小言を言われるに違いない。

それに下手にアレコレ聞かれると、口が滑りかねない。
高岡くんにはさっきの女の子たちの件を知られる訳にはいかない。
優しい彼の事だ。
知ったら気にやむに違いない。
変な気を遣わせたくないし。

先生にも言わないで欲しいと、お願いをしたから心配はないだろう。
そんな事を片隅に考えながら着替え始めた。