夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~

教室についてHRが始まるまでの時間を寝て過ごしていた。
遠くに教室の喧騒が聞こえるけど、疲れからか全く起きがれずに机に上半身を預け目を瞑っている。
意識が遠のきそうになった時、頭にズキンと痛みが走った。


『ほら……お前もその気になってきたか?』


三井先生の声が頭に広がっていく。
もう昔の事なのにあの声も言葉も忘れることが出来ない。


『試合……出してやろうか?』

『使って欲しいのなら
それなりの事をして貰わなきゃな』


一瞬でも間違った選択をしようとした私はズルくて卑劣で汚い。
それなのに、また私はあの舞台へと立とうとしている。
純粋に水泳が好きな人たちの間に立って部活に入っている。

先輩たちも、あんなに綺麗な泳ぎをする高岡くんも。
ただ純粋に水泳が好きなんだ。
私が、私なんかがいたら邪魔になる。


「っ……あっ……」


胸が苦しくなって息が上手く出来なくなる。
目の前が真っ暗でさっきまで聞こえていた喧騒も消えて。
だだっ広い空間に1人で取り残された、そんな孤独を感じる。

もう嫌だ。
こんな想いをするくらいなら。
水泳なんて。

そう思って、思考を止めた。
この言葉は軽々しく言わない。

私は泳げるんだ。
泳ごうとさえすれば。

それだけで奇跡なんだ。

頭に浮かんだのは先生の顔だった。
先生はいつだって前向きで、笑顔で。
そんな先生の夢を私は叶えなきゃ、いや。
叶えたいんだ。