「いや…これは…」 焦っている声。 おそらく、痴漢の犯人だろう。 「言い訳なんていいから。どっか行け」 目の前の人が、そう言うと、 犯人はそそくさと逃げていった。 「大丈夫?」 さっきのドスのきいた声とは違う、 甘いボイス。 「すみません。ありがとうございます」 深々と頭を下げると、 「堅いよ、藤木美依子ちゃん。」