1300年の恋

「お前、持って行け」


私に渡されると思っていた袋は、なぜか雅紀さんの手の中へ。


「え、いいですよ」


慌てて止めようとしたけど。


「ええよ、持っていくわ」


ひょいと袋を小脇に抱えて、雅紀さんはお店を出てしまった。


慌てて追いかけると、雅紀さんは少し先で待っていて。


「あっち?」


猿沢池のほうを指さした。


私がこくりと頷くと、すたすたと歩き始めた雅紀さんを小走りで追いかけた。


「あの、持ちます」

「ええよ。春ちゃんの店まで持って行くわ」


雅紀さんはニコッと笑って。


「そのかわり、手繋ご」


あっさりと私の手を攫った。