1300年の恋

「なにしてんねん!」

「痛っ!なにすんねん!」


突然現れた手が、目の前の頭をはたいて。


私の鼻を撫でていた手は、今は叩かれた自分の頭を撫でている。


「春ちゃんごめんな、これ息子の雅紀やねん」


叩いたのはこの店を経営している田村のおじさんで。


「お前、春ちゃんに手出すなよ」

「出してへんわ」


目の前で親子喧嘩を始めてしまった。


「あの」


口を出すのも申し訳なく思ったが、開店準備をする時間が迫っていた。


「ああ、ごめんごめん。お茶やんな」


おじさんはすぐに察してくれて、奥からお茶を入れた袋を持ってきてくれた。