1300年の恋

はんなりとした顔立ちの男の人が私の顔を覗きこんでいて。


びっくりした私は、一歩後ずさった。


「ごめんな、鼻打った?」


少し目尻の下がった優しげな眼差しに、驚きながらも頷いて。


「ごめんなさい、気づかなくて…」

「鼻、見せてみい」

「や、大丈夫やから」

「ええから、見せ」


強引に手を退けられてしまった。


「ちょっと赤くなってるな」


じっと私の顔を見たその人は、ニコッと笑って。


「痛いの痛いの飛んでけ~」


そう言いながら、私の鼻を優しく撫でた。