まあ、でも、今はそんなことどうだっていい。
自分の功績なんかよりも、有馬くんのことが気になって仕方ない。
ぼんやりと有馬くんを見つめていると、彼はキャンバスにかかっている白い布のカバーに手を伸ばした。
それを剥ぎ取ると、見覚えのある絵が姿を現す。
……あ。
あれは、棗先輩の絵だ。
途中までだけれど、とても丁寧に塗られてる……キレイな女性の横顔。だけど有馬くんは、それを以前途中で投げ出した。
それはなぜなんだろう?有馬くんの意図がわからない。
すると有馬くんは、おもむろにその絵を破き始めた。
ビリッと紙が破かれていく音が、静寂の教室に強く響く。
「な、何してるの!?」
あたしは咄嗟に、有馬くんのもとへ駆け寄りその手を掴んだ。
体が勝手に動いたんだ。その絵を破いてはいけないって、あたしの中の何かがそう叫んでる。


