……有馬くん、このこと知ってるのかな?




「だから最近、休むことが多かったみたい。親の説得とか、引越しの準備とか……」



「そうなんだ……」



たぶん、有馬くんは知らないよね。



棗先輩と話してるときに、『なんで最近休んでるんだよ?』って聞いてたし。



先輩も、はぐらかすような答えだったし……。




「今、その話は美術部の子しか話してないみたいだから、美月も内密でお願いしやーっす」



「そんな大事なこと、軽々しくあたしなんかに言うんじゃないの」



おかげでこっちは、心臓がドキドキだ。



「美月は口堅いから。じゃ、あたしは今日も美術室行ってくるね」



今日も今日とて、梓は展覧会の絵を描くために部室へ行ってしまうようだ。



かれこれもう1週間が経とうとしてる。



それと並行するように、あたしも有馬くんと過ごす日々が続いていた。