「でも、俺もちょっと退屈だった」



ゴールが決まったバスケットボールを拾い、ポツリとつぶやく有馬くん。



「今までひとりでいいやって思ってたけど、あんたと関わってみて、そんで突然関わりがなくなると、つまんないなって。
だから俺、意外とあんたと過ごす時間、好きなのかも」



「……っ!」



桐谷くんの言葉に、胸がギュッと締め付けられる。


ず、ずるい……。



あーもう!惚れた弱みってやつかな?


どんどん好きになっていってしまう。



「もし万が一、また何か嫌がらせされたらすぐに教えて。それが、一緒に練習するための条件な」



「わ、わかった……!約束する」



心配してくれてるんだろうな。


こないだ、閉じ込められたこと。


あたし、そこまで気にしてないのに。


閉じ込められたのがあたしひとりだったら、きっと怖くて、戸惑ってたと思う。でも、有馬くんと一緒にいたから怖くなかった。