「確かにね」



即座に有馬くんをかばおうとしたけど、有馬くんは質素な声でそうつぶやいた。



……え?



整った顔が、あたしの瞳を見つめる。



「あんたの力になれたらって思ったけど、それって逆効果かも。ごめん、力になれなくて」



「……!!」



そんな……有馬くんは悪くないのに。


嫌がらせしてきた生徒が、悪いのに。



それに、閉じ込められても悪いことばっかりじゃなかったよ。


あたしのこと手伝いたいって言ってくれて、すごく嬉しかった。




「じゃ」


手のひらを見せ、彼は背を向けて歩き出した。



「あ!おい、有馬!お前、球技大会の競技何にすんだよ!」



「余ったのでいい」



石原くんの大きな声に対しても、有馬くんはどこか冷めたような関心のない声でそう答えた。