「なんで……?」 「えっ?」 「なんで、泣いてんの?」 有馬くんは、後ろ手でドアを閉めると、あたしの方へゆっくり近づいてくる。 そうだ、泣いてたことすっかり忘れてた。 涙、見られてしまった……。 咄嗟に言い訳を考えてみたけど、何も思いつかない。 こういうときに限って、機転のきかない自分を恨んでしまう。 その間にも、有馬くんはあたしに近づいて、机の上に置いてある冊子の紙を見てつぶやいた。 「やっぱり、無理してるんじゃん」 「……?」 「ひとりで全部やろうとするから、疲れるんだろ」