「今回の展示会の絵も、あんたに喜んでもらいたくて描いてた。でも、あんたが不安になるくらいなら描く必要ないし、むしろ、あんたのことが気になって集中できない」
由紀ちゃんの言ってた通りだった。
有馬くんは、今回の展示会はあくまでもあたしのために描いてくれていたんだ。
それってどれだけ幸せなことだろう。有馬くんがあたしを想ってくれてるとわかった瞬間、こんなにもあたしの心は満たされる。
モヤモヤしていた気持ちが、晴れていくのがわかった。
「……まあ、展示会の絵よりも完成させたい絵があったてのも理由だけど」
そう言って、有馬くんはキャンバス台ではなく、机の上に置かれているスケッチブックに目をやった。
あたしの身体を離し、今度は手を握ってそこまで連れて行く。
手に取ったスケッチブックをパラパラとめくっていくと、ある1枚の絵のところで止めた。


