こんなときですらおちゃらけて、お調子者な笑顔の朝霧くん。


でもそれは、彼らしい精いっぱいの見栄と優しさだったと思う。




朝霧くんはあたしの頭にそっと手を乗せて、ポンポンッとする。



「行きな。きっと有馬はこっちに向かってる」



「…………」



「もう、倒れるまで無理しちゃダメだからね」




ニコッと笑ってくれた朝霧くんに、思わず涙しそうになったが、あたしはつられるように笑って頷いた。



そして、クルリと背を向け旧図書室を飛び出す。



そして、こちらへ向かってるであろう有馬くんのもとへと駆け出した。