けれどあたしは今、朝霧くんに肩を掴まれていて、有馬くんのもとへ行くこともできない。
ドンドンッと、何度も窓を叩く音が聞こえる。
有馬くんが間接的に、ここを開けろと訴えている。
朝霧くんから離れることができないのは、朝霧くんに捕まってるからだけじゃない。
あたしがまだちゃんと、朝霧くんの気持ちと向き合ってないからだ。
どうしよう。有馬くんの手が……絵を描く大切な手が……。
「美月ちゃん、こっちを見て」
そんなことで頭がいっぱいになってると、ふいに朝霧くんに名前を呼ばれた。
気づけば目の前に、朝霧くんの顔があってビックリする。
……え、近い……っ!
「やっ!」
思わずギュッと目を閉じながらのけぞったが、特に何も起きない。
すると、肩を掴まれていた手の温もりが消えた。


