「もう既に、彼氏持ちだったけどね」
あたしの肩を掴み、くるりと方向転換させて、自分の方へと向かせる朝霧くん。
「君だよ、美月ちゃん」
目と目が合い、呼吸が苦しくなる。
目頭が熱い。けど、ここであたしが泣くのは間違っている。
……逃げてちゃ、ダメだ。
――ドンッ!!
『美月!』
何かを叩いたような鈍い音と共に、くぐもった声があたしの名前を呼んだ。
驚いて振り返れば、窓の向こう側に、息を切らして肩を上下させてる有馬くんがいた。
ドキンと心臓が音を立てる。
あたしの会いたかった人が、今、目の届くところにいる。


