強引に押し通す朝霧くんを横目に、あたしは仕方なくそのまま美術室へ向かった。


隣に朝霧くんがいるところで、有馬くんとゆっくり話せるのかな……。


そんな不安が頭をよぎったが、美術室で、思わぬ出来事が起きた。



「……嘘……」



信じられなくて、自分の目を疑う。



室内には、今まで美術部員が残してきた数々の絵画が展示してある。


けれどその中に、有馬くんの絵はなかった。



……どうして?



完成、できなかったの?


間に合わなかったの……?


ヒナタちゃんと2人でいたから……?



イヤなことが頭に思い浮かんで、思いっきりふるふると首を横に振った。



結局、展示の絵を見てる生徒の中に有馬くんはいないし、なす術もない。



そんなあたしの様子を察してか、朝霧くんは何も言わずにただそばにいてくれた。