「ごめんね。あんたがしんどい時に気づけなくて」



それでも、ただ一緒にいるだけで疲れなんて吹っ飛びそうなくらい幸せな気持ちになれるから、すごいよね。



そっと髪を梳かすように触れる有馬くんの手に、ドキドキする。



「俺にできることあったら言って。手伝うから」



その言葉に、あたしは「えっ」と声をあげてしまった。


なぜなら、有馬くんは人を手伝ってる時間なんてないはずだから。



「有馬くん、創立祭に出す絵は?」



「絵?」



「うん。もう完成したの?」



「いや、まだだけど」



そんな……。


もしかしてあたし、有馬くんの足を引っ張ってる?



足手まといになんか、なりたくない。



〝葉山先輩は、有馬先輩の絵をダメにします〟



ヒナタちゃんの言葉が、頭の中で重く響いた。