「葉山さんはもう少し休んでいなさい。一応、お家の方にも連絡したいんだけど、今の時間に誰か迎えに来れる方はいる?」



先生が、朝霧くんの後ろからあたしに尋ねた。



「あ、連絡しないでください。そこまでしんどくないので、少し休ませてもらえれば大丈夫です」



「なに言ってるの。しんどいときくらい甘えればいいのに」



「本当に平気です。親呼ぶほどのことじゃないんで」



……こんなんで、迷惑なんてかけたくない。


朝霧くんは、ちょっと困ったような顔で目を細めた。



「そうやってまた自分を後回しにする……。今の美月ちゃんの仕事は、ゆっくり休むことだよ。ちゃんと自分を大事にして」



朝霧くんが、そっとあたしの前髪に触れた。


そのまま赤ちゃんをあやすように、あたしの頭を撫でていく。



それが今のあたしには心地よくて、たゆたう意識の中であたしは再び目を閉じた。